私の師匠は変な人
私がスタイリストとしてアシスタントについた師匠は、ちょっと変わった人でした。
エキセントリック、という言葉が彼女ほどぴったりはまる人に私は身近で出逢ったことがありません。
・若い頃は坊主頭だった人(女性です)
・アシスタント(私の姉弟子)と、夜中に取っ組み合いのケンカをした人
・フォトグラファーになりたくてパリに渡ったけど、その地でスタイリストという仕事を知ってその道で行くと決めた人
・パリにいるころサンローランが大好きになった人
・日本に帰国して、当時日本でファッションショーの多くを制作していた会社に、スタイリストとして入社し、日本のファッションショー黎明期に数々のショーのスタイリングを手掛けた人
・ある時、サンローラン本人も来日して日本でショーが行われた時、彼女が在籍していた制作会社ではない、新進気鋭のディレクターがその仕事を受注したと聞き、在籍していた会社を辞めて、そのショーを請け負ったディレクターに、「サンローランのショーをやるならスタイリストは自分しかいない」と直談判しにいった人
そんな人です。
そんな師匠に付いていた4年半は、苦しさと喜びと興奮が入り混じった、なんとも形容のしがたい私の人生のエポックでした。
でも、ほとんど過酷なむちゃぶりが続いても、何徹かわからないほどヘロヘロになろうとも、絶対に手放せなかった「いつか必ず、独立する」という信念に支えられて乗り切ったのだと、当時は思っていました。
今は、そうは思っていません。
続きはこちらからお読みください。