色についてのとても面白い話を聞きました。

私のyoutubeで、万葉の昔から伝わる天然染料で鮮やかに染められた美しいランジェリーのデザイナーさんにお話を伺った時のことです。

皆さん、冠位十二階はご存知ですよね。
そうです。聖徳太子が行なった行政改革の1つで、官僚の方々の序列を制定し、冠の色で表すというもの。
家柄に関係なく実力のある人が出世できるようにするための改革だったと言われていますね。

その中で最高位の冠の色がなんだったか、皆さん覚えてますか?小学生の方が答えられそうな問題ですね。

答えは「紫」です。なんだか納得、ですよね。
小学校で習ったことは忘れても、なんとなく「紫」は高貴な色だという印象をお持ちの方は多いと思います。

で、面白いのはここから。

なぜ、紫が最高位の色に制定されたのか?、その理由は、紫が一番身体にいいから、という説があるそうです。

身体にいい色ってどういうことでしょう?

今では服の色は、その色を楽しむためにあるのが一般的なあり方ですが、古代いにしえの当時、服の色には今とは少々違う意味合いがあったようです。

植物の薬効を取り込む「色」

それは、染色により、植物の薬効を取り込む、というもの。 

確かに、時代劇などを見ていると、飲む薬も塗る薬も、植物を潰したり煎じたりという場面を見ることがあります。

今でも私たちは漢方薬などで植物の薬効にはお世話になっていることを思えば、なるほど、服に薬効を取り込むために煎じた結果、その「色」になったのか、というのも納得できる気がします。

服に薬効があるという概念は、今でも薬を飲むことを「服用」という、言葉として残っているんですね。

冠位十二階で最高位の「紫」も、2番目の「藍」も、その美しい色を出すために何度も染めるので、より薬効が強くなるのだそうです。地位の高い人から順に薬効の高いものを身につけられる。階級とは、かくありなん、という感じですね!w

そして、あーそういえば!ということを思い出しました。

ヨガなどで知られるチャクラはご存知の方も多いと思います。

ボディ部分の一番下の第1チャクラから頭のてっぺんの第7チャクラまで、それぞれにチャクラの色がありますが、頭のてっぺん、つまりは人間の身体で一番天に近い部分のチャクラの色は紫です。

これも、紫が高貴な色と言われるゆえんには無関係ではなさそうです。

少々科学的に言うと、太陽光をプリズムに通して分光した時に人間の目に見える色が周波数によって紫から赤までに、色の帯が分かれますよね。虹のメカニズムと同じです。
紫が一番周波数が短くて、赤が一番周波数が長い。つまりは紫が一番天に近くて赤が一番地球の深い中心に近い、ということです。

そして、偶然にももう一つ、面白いエピソードを思い出しました。

 

メトロポリタン美術館でのビックリな話

昨年の12月に、私はニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されていた日本展で、その展示物に関するレクチャーをさせていただきました。
その展示物に紫色のお能の衣装がありました。

レクチャーの前に、その衣装に関して話そうと準備していた、紫は高貴な人しか着ることが許されていなかったということも含めた内容について、その講義を主催していたアメリカ人の教授と打ち合わせをしていました。

その時に、その教授がこう言ったのです。

「とても興味深い話だけれど、西洋人には紫色を認識できない人も多いから、伝わるかどうかは微妙だね」と。

これは、カルチャーショックでしたねー。

だけどよく思い起こしてみると、目の色の薄い西洋人のモデルさんなどは、ロケで太陽の下での撮影などをしていると、まぶしくて目を開けていられなくなることがよくあるのです。
これは、周波数の短いブルー系の色がいわゆるブルーライトが強くてより眩しいから、という要因からのことらしいです。

そういえば、和服には紫色はとてもよく使われますが、洋服には、ないわけではないけどそこまで重要な色とされていないなぁと感じます。

日本では古来から高貴な色として文化に馴染み、薬効も高く欠かせない色である「紫色」。これも濃い色の瞳を持ったアジア系の民族だからこそ、発展した色文化なのかと思うととても感慨深いし、大切にしたいと思います。

しかしながら、現代でも、冠位十二階の二位の藍染めは広く行われていてその効能も知られていますが、その根が紫根として紫色の染料に使われていた「むらさき」草は、可憐な白い花を咲かせる植物ですが、なんと現在の日本では絶滅危惧種だそうです。

これはショックな事実でした。
なんとか保護できないものでしょうか?

話に出てくるyoutube動画はこちらです。是非ご覧ください。